天使のエースは悪魔くんでした
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もしかして…。(1/9)
あれから何日か経ち、少しずつ元気を取り戻してきた。
特に変わったことはないかな。
…いや少しだけ変わったこと。
なぜか悪魔の宮野優斗を見るとドキッとすることがある。
…ただ単にビビってるだけかもしれないけど。
「宮野くーん!感謝状もらえるなんてすごいねー!」
「もう優斗君めっちゃ素敵!!」
“宮野 優斗”という言葉を聞くとドキッとする。
なぜだ…なぜなんでしょうか。
「いやいや、俺は人として当たり前のことをしただけだから。」
天使のスマイルに女子達が貧血を起こしたかのように倒れる。
そう、彼は人呼んで天使の宮野優斗くん。
超がつくほどの好青年。表の顔はね。
裏の顔は…。
「見てんじゃねぇぞチビ。」
小声で耳元で囁く悪魔の宮野優斗。
暴言だけじゃない。
この学校の女教師や彼氏持ちの年上女性を誘惑する魔性の男。
こんな男に最近なぜだかドキッとしてしまうことがあるんです。
これは何かの病気なんでしょうか?
悪魔の催眠術か何かにかかっているのでしょうか?
最近そんなことを考えて大体1日が終わります。
「優斗ほらお前載ってるよ!スポーツ紙一面!」
野球部の仲間が新聞を持って悪魔の元へ駆け寄る。
ダメ!そいつに近付くと魂を持っていかれるから!!
「宮野くんお手柄!感謝状贈呈!やはりエースは完璧だった!」
もう一人の野球部が大きな声で音読する。
「でも変質者から助けるって本当勇気いることだよね!」
女子の一人が言うとみんなうんうんと頷く。
「宮野くんに助けてもらえるなら襲われてもいいかもー!」
…は?何それ…。
何その台詞。ふざけんな。
こっちはどれだけ怖い思いしてると思ってるの?
何も知らないくせに…何でそんなこと口に出せるの?
「…それ本気で言ってる?」
宮野の顔から笑顔が消える。
もの凄く低い声で話す。
「女の子どれだけ怖い思いしたかわからない?それ本気で言ってるなら俺ちょっと許せないな。」
そう言って教室を出る宮野。
一気に静まる教室内。
「ど、どうしよう…。冗談のつもりだったんだけど…怒らせちゃった。」
女の子は泣き出してしまった。
冗談でもよくないよ。
本当に怖くて震えて何も声が出なくなる。
夜が怖くて寝るときでさえ不安になる。
もう二度と同じ目に遭いたくない。
「優斗結構マジだったな…。」
野球部の子がボソッと呟く。
千尋が騒動を聞いて私の元へやってきた。
「絵菜…。大丈夫?」
そう言って私の背中をポンッとする。
私は黙って頷く。
「優斗…どこ行ったんだろう。」
千尋の言葉で私はふと思い出す。
きっとあそこだ…。絶対そう!
私は千尋にトイレと言って教室を出た。
ダメじゃん宮野。
天使の宮野は怒らないんじゃなかったの?
いつもニコニコしてるんじゃなかったの?
なんで?どうして?
下手したらみんなにバレちゃうよ!!
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