天使のエースは悪魔くんでした

私と千尋(1/5)



−ピンポーン。




PM20:50。
家のインターホンが鳴る。
こんな時間にインターホンが鳴るということはきっと…。






「こんばんは。」




「千尋!お疲れ様!」






坊主頭で背が高くて筋肉質な体。
幼馴染の藤 千尋。家が隣で兄弟みたいな関係。






「漫画サンキュー。面白かった!」





小麦色に焼けた肌に光る白い歯。
この笑顔は昔から変わらない。





「ちーくん!やっほー。」





バタバタと階段を降りて駆け寄るのは弟の大悟。
まだ小学4年生の可愛い弟です。





「おっ。大悟また大きくなった?」




「毎日牛乳飲んでるもん!今度キャッチボールしよう!」




「アハハ。部活早く終わって明るいときやろうな。」




大悟は昔から千尋が大好きで千尋の影響で野球を始めた。
千尋も大悟のことを弟みたく可愛がってくれる。
本当に千尋はいいやつ!どっかの誰かと違って。





「あっ、千尋夕飯食べていく?カレー余ってんの。」




「じゃあ頂こうかな。その前に家に荷物置いて風呂入ってくるわ。」





「おばさんによろしくー!」





こんなやりとりは結構多かったりする。
千尋は食べ盛りだからうちでご飯食べても家に帰ればまたおばさんのご飯を食べる。
すごいね、思春期の男の子は。





「あーうまかった!絵菜のカレーうまいよ!」




「本当?ならよかったー。今日峻希いないからさ。」




峻希は私のお兄ちゃん。大学生で今日はサークルの飲み会らしい。





「おじさんは?遅いの?」




「うん。残業みたい。もうすぐだとは思うけど。」





うちはお母さんが1年前に亡くなっている。
だから基本家事は分担制。
お父さんと峻希と私の交代だけど基本は私かな。
でも掃除やゴミ出しは男性陣が必ず。
どこか男らしいというか肝っ玉感があるのはこのせいかも。






「なんか困ったことあったらいつでも言えよ。母さんも心配してた。」





「うん。ありがとう。」





私はそう言って千尋の食べた皿を洗う。
別に困ってはないんだ。
料理は楽しいし大悟ももう小学生だしほぼ一人で出来るし。
ただやっぱお母さんいないと寂しいときはあるけど…。




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