天使のエースは悪魔くんでした

悪魔との日々(1/5)



「おはよう、近藤さん。」



ニコッと笑うのは好青年・宮野優斗。
けれど裏の顔は悪魔だ。

みんなは彼の裏の顔を知らない。
表の顔しか知らないからモテるし人気者。


でも私は知っている。
今こいつが私を心の中で睨んでいるのを。




「宮野く〜ん。今日の朝練もかっこよかった!」
「試合見に行くからね!」
「ねぇねぇ優斗雑誌載ってたね!買ったよ。」



朝から女子が宮野優斗を取り合っている。
我先に感がすんごい出てるよあなた達。



「ありがとう。絶対勝つね!」



ニコッと笑う彼にみんながイチコロ。
こんなエロ坊主によってたかってアホくさ。
この子達が彼の本性を知ったらどう思うのだろう。


やっぱり嫌なのかな?それとも抱いてほしい!
なんて思っちゃうのかな?
私にはさっぱりわからない。





「絵菜おはよう。今日部活終わったら漫画返しにいくよ。」




振り返るとそこにいたのは藤 千尋。
幼なじみで家が隣で千尋も野球部。
千尋も頭良くてスポーツ出来るしイケメンだからモテる。
ただこいつ…宮野ほどではないけどね。




「あっ、千尋この前の彼女と別れちゃったんだって?なんで?可愛かったのに。」




「あーうん。価値観が合わなくて。ハハ。」



そう言って千尋は寂しそうに笑った。
千尋はあまり彼女と長続きしない。
価値観とかそういうのも恋愛には大事なんだ。へぇー。




「千尋って近藤さんと仲良いの?」



宮野が話に割って入ってくる。
近藤“さん”だって。お前呼ばわりしたくせに。
演技がお上手ですね〜。




「あぁ。仲良しってか幼なじみで家が隣なんだ。言ってなかった?」




「うん。そうなんだ。じゃあ今度千尋の家行った帰り近藤さん家寄ろうかな。」




クスッと笑い意地悪そうな目で私を見る。
は?来んなよ。ボケ。変態。
思わず本音が出そうになるがぐっとこらえる。




「何言ってんだよ、優斗。」




千尋は笑ってる。てか千尋も知らないのかな?
宮野優斗の裏の顔…。
知ってるはずないか。





「アハハ。冗談だよ。」




そう言って宮野は野球部の人たちの所へ行った。
千尋も俺もいってくるわ、と言って私の頭をポンッとした。




「キュン」





千尋との会話を聞いてた萌香が耳元で言う。



「あのさ、人の耳元で囁くの禁止。別にキュンとしてないから。」




なーんだ。とつまんなそうに萌香は前の席に座った。
そして彼氏のノロケをはじめた。




「寛汰って本当可愛くて〜。なんか本当癒される!」




萌香の彼氏は野球部の1年生。
年上キラーの萌香だったのにまさか年下と付き合うなんて…。
どうやら彼氏のアピールに負けたみたいだけど。
今はもうメロメロなんだってさ。
夏休み始まる前に付き合って今11月だから3か月くらい?
いいなー恋する乙女って!




あ、萌香なら宮野優斗のこと話してもわかってくれるかな?
なんかこう急に話したい衝動が…。笑






「あのさ、萌香…。」





「ん?どしたー?」




「宮野ってさ…。」




口を開こうとしたその時だった。





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