key of ×××
story1.[欲情](1/17)
「雨…。」

ポツリと呟くと、涙の代わり以上に降る雨が私を包む。
つい数時間前、私は家をでた。
別に傷ついてるわけじゃない。
姉に彼氏をとられたことくらい、なんともない。
なのに、涙を流している私はなんなんだろう。
こうなることはわかってたのに、何でこんなに可哀想って言葉が似合う私がいるの。

「姉の代わりでもいいから。」

そう言って付き合いを始めたのは私からなのに。
結局私は、姉以上の自分にはなれなかった。

彼氏をとられたなんて言ってるけど、そもそもキス以上のことなんかしたこともない。

それは私が、彼が姉を抱いてると感じさせるのが恐かったから。

結局私は「代わり」という言葉で首をしめただけだった。
そんな自分が情けない…悔しい……。
でも、私は彼が好きだった…。
そんな想いも、姉が帰ってきただけで、もろくも崩れ去った。

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