キャンディ


   願い (1/5)




ある日の午後、突然声をかけられた。

「君は何を求めているんだ?」

黒いスーツの男の人。
誰?と問う前に男は続けた。

「君の願いを叶えてあげよう。」

男は不気味な笑みで続ける。

「君の願いはもう分かってるよ。僕なら何でも叶えられるからね。」

私は気味が悪くなってその場を離れようとしたけれど、男に強く止められた。

そして目の前に手を伸ばすと、「これを君にあげよう。」そう言って握り締めていた拳をゆっくりと開いた。


「この飴を舐めた時から6時間、君は君が思い描くような女の子に変われる。つまり変身できるんだ。」


「君は可愛くなりたいと毎日のように願っているんだろ?」


ただ黙っていると、無理やり私の手の中にそれを入れ男は一瞬にして消えた。

「何なの…一体…。」
私の手のひらには5個ほどの飴が残されていた。







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