裏のこぴぺ。

●[除霊](1/4)
沙耶ちゃんシリーズ

870 名前:まこと ◆T4X5erZs1g:2008/08/19(火) 00:36:17 ID:fkpUHwKQ0
翌週は何事もなく過ぎた。
俺としては、H先輩あたりの首をもぎ取ってやろうかと思ってたんだがww悪夢の欠片も見なかった。
仕事の合間に白骨遺体のことを話すと、先輩は「気持ちわりーな。寺行って来い、寺!」と、
その筋で有名な大阪の寺まで調べてきた。
江戸時代から慰霊で名を馳せている、由緒のあるところだそうだ。
日曜日には休みをくれるというので、遊興も兼ねて行ってみることにする。

沙耶ちゃんに「一緒に行かない?」と電話をすると、
『・・・お寺ですか・・・あんまり勧めませんけど・・・」と、歯切れの悪い答えが返ってきた。
理由を聞く。
『除霊って好きじゃないんです。一方的に霊を追い出してしまうことなので。
 できれば、話し合って浄化してもらいたいんですけど・・・』
なるほど。沙耶ちゃんらしい考え方だよ。
正直俺は、儀式でこの厄介な現象がなくなってくれるとは思わない。
ただ、祓ったから霊に勝てると、自信をつけたいだけなんだ。
そう説明すると、沙耶ちゃんはやっぱり乗り気ではないようだったが、
『まことさん1人で行かせるのも心配なので』と、承知してくれた。



871 名前:まこと ◆T4X5erZs1g:2008/08/19(火) 00:37:02 ID:fkpUHwKQ0
鉄道を使うつもりだったので、ローカルな駅に車を置いて、新幹線の乗車駅行きの急行に乗った。
ふだん乗りつけないから、切符の買い方がわからなくなってたよorz
沙耶ちゃんも珍しい車窓の景色に目を輝かせていた。「子どもの頃以来かも」だって。
今だって子どもみたいなもんだw

市を2つまたぎ、そろそろ都市圏に入ろうというところで、列車は小さな踏切を渡った。
遮断機の向こうで待つ、通行人と車の列。見知った顔があった。
「あれ、見覚えない?」と沙耶ちゃんに振ると、彼女は首をかしげた。
あ、そっか。沙耶ちゃんは1度しか会ったことがなかったな。
3年前の春から夏にかけて、毎晩コンビニに来ていたキャバクラ嬢ふうの客だ。
今の格好は普通の主婦っぽかったが、激しく脱色した髪が名残をとどめている。
そっか。見なくなったと思ったら、こっちに移って来たんだな。

踏み切りが後ろに流れて見えなくなったタイミングで、前方に小さな駅が見えてきた。
この列車は停まらないはずだ。
駅に停車していた鈍行電車が動き始め、俺たちの横を対向して過ぎて行く。
いかにも地元という感じの利用者で賑わっていた。
平和な風景としか言いようがない。大阪まで何しに行くんだか忘れそうになったよ。
でも俺たちの列車は、予定のない駅に緊急停車してしまった。






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