裏のこぴぺ。

●[異形の霊](1/2)
沙耶ちゃんシリーズ

256 名前:まこと ◆T4X5erZs1g:2008/08/02(土) 23:47:42 ID:MIEjhNYt0
箪笥に、ばあさんが畳まれて入っていた。
かなり昔に読んだB級オカルトだが、意外に長いこと印象に残っている。
幽霊というのは、どんな形をして出てくるのだろう。
グロテスクな死体や、ありえない不気味な姿をしているのだろうか。
それなら沙耶ちゃんのような人間は、神経が参ってしまわないのか。
「ふつーですよ」
バックヤードの暗い照明でもわかるほど明るい笑顔で、沙耶ちゃんは答えた。
「気持ちの悪い霊は、見ないようにしていますから」
「へ?ってことは、見ないですむこともできるわけ?」と俺。
ちょっと前に彼女は、「自力で霊能力を出したり引っ込めたりはできない」と言っていたはずだ。
「んー・・・」
思案顔の沙耶ちゃんは、でも非常に的確な説明をしてくれた。
例えば、様子のおかしい人間がいるとする。そんなとき、他人は目を逸らせるだろ。
沙耶ちゃんの場合、やばそうな空気を感じると、うつむいて周囲を見ないようにするんだそうだ。
もしくは、反対の方向に目を向けるか。
直接見てしまわない限りは、頭の中にイメージが浮かんでこようが、声を聞こうが、それほど怖くはないらしい。
霊に負けてる霊能者ってのが、沙耶ちゃんらしくてちょっと笑えた。






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