それでもキミが。
[真実は残酷です。](1/12)







次の日。



案の定、私は風邪をぶり返した。



熱が出たのだ。





「羽月、具合どう?」





ドアがコンコンと音を立て、その後そんな声が飛んできた。





「うん、大丈夫」


「入るよ」


「うん」





小さな音を立てて開いたドアから、お母さんが顔を覗かせた。



その手には、お盆。



コップとポット、それにマグカップも乗っている。



それを小さなテーブルに置き、マグカップだけを手にするお母さん。





「温かいレモネード。飲みなさい」





そう言って、赤いハート型のマグカップを私に渡す。



私は身体を起こし、「ありがとう」と言って、それを受け取った。



少し口をつけて喉に流すと、いつものレモネードより少し甘く感じた。



お母さんがハチミツを入れてくれたんだろうと思う。





「ねぇ羽月、これ蒼ちゃんのじゃなかったっけ?」


「え?」


「リビングのテーブルの上にあったんだけど」


「……あ」





お母さんが手に持っていたのは、確かに私が蒼君にプレゼントしたリストバンドだった。



真っ青な。





「忘れてたぁ……。ちょっとほつれてる所があってさ。直しとくって言って、預かってたの」


「そう……。お母さんが直しとこうか?」


「ううん! 私が直したいから」


「そう」





ニコリと笑ったお母さんは、一旦部屋から出ていき、また戻ってきた。



その手には、裁縫箱。



私に「はい」と渡す。





「ありがと」





笑ってそう言うと、お母さんは私からマグカップを受け取り、それをテーブルに置いた。



針と青い糸を取り出し、小さな針穴に糸を通す。




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