ランネ・ラングイ
[第15話 物知りじいさんの店](1/5)


 翌日、シドナが起きてリビングに行くと既にガーナが朝食を作っていた。

「おはよう、シドナ。よく眠れたかい?」

 ガーナは眠たそうにする彼女に気付いて、明るい声を飛ばした。彼女は欠伸をしながらとぼとぼと歩き、水はある?と聞く。

「ええ、よく眠れたわ。まだ眠たいけど」

「はい水だよ。悪いけど、テックを起こしに行ってくれないか。ドアを叩いて話しかければ起きると思うから」

 分かったわ、と返事をして、シドナは水を飲みながら目玉焼きとベーコンの美味しそうな匂いを堪能した。

 ガーナは遠くにある調味料を魔法で浮かせ、そのままフライパンの上で焼かれた目玉焼きとベーコンに振りかける。

 キッチンには香ばしい香りが漂い、シドナの眠気を徐々に覚ましていった。

 テックの部屋まで行ったシドナは、手を軽く握って中指の関節で扉を三回叩いた。

「テック、おはよう。起きてる?」

 声をかけると、部屋の中から僅かに唸り声が聞こえた。ゴソゴソと布団が擦れる音が続いた後、寝起きの掠れた声で「おはよう」と呟く声がした。

 シドナはもう一度おはよう、と声をかけ、もうすぐ朝食が出来上がることを伝えた。

「テックは朝が苦手なのね」

 少しして、朝食が出来上がったと同時にダイニングへ辿り着いたテックに微笑みかけた。

「大体の人は苦手だろ」

 テックは、窓から差し込む暑い朝日を細い目で捉えながら伸びをした。

 出来たてのカリカリベーコンと半熟の目玉焼きは、とても美味しくて腹の底に幸せを感じられた。



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