ランネ・ラングイ
[第12話 見習い医師の少年](1/6)
2章 真実を追い求める者達の物語



 アマリリス王国からグロリオサ王国までは、シドナの乗っている蒸気機関車で約一時間の距離がある。

 手紙を読み、静かに泣きじゃくったシドナは、ハンカチで涙を拭い取り一息ついていた。

 窓の外は、いつの間にか森であった。大きくて太い木もあれば。まだ小さくて細い木もあった。豊かな自然はシドナの心を穏やかにした。

 シドナは、先程読もうとしていた魔法書を手に取る。魔法書は授業でも使用していたが、博士から貰ったものはそれとは違っていた。きっとひと昔前のものだろうと思ったが、それはやけに綺麗で、紙は固く新品の匂いがした。

 まさかと思い最後のページを見てみると、発行年は丁度一年前だった。博士はわざわざ最新のものを用意してくれていたようで、シドナはとても嬉しくなった。

 そうして魔法書を読もうと意気込んだところまでは良かったのだが、いざ文字を読みだすと急激な眠気に襲われ、シドナは一分足らずで眠ってしまった。

 疲れが溜まっていたのか、少し気を抜くとシドナはもう夢の中だった。


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