ランネ・ラングイ
[第8話 悪魔と呼ばれる者](1/6)


 夜中、シドナは目が覚めた。起き上がり自分がいる場所を確認して、研究所内の博士の寝室で寝ていたことを知る。

 寝室に博士の姿はなくて、僅かに開いている扉の隙間に、対象にある窓からの月明かりが指していた。重たい瞼に、泣きすぎて腫れているんだと分かった。瞬きしても少しも治る気配がない。窓の外は、満月に近い月が堂々と光り輝いていた。

 軽い頭痛を感じながら部屋を出た。広間に行くと、大人四人が余裕で座れる大きさの深い緑色のソファに博士が横になっていた。覗くと、一定のリズムの寝息が聞こえた。腕を組んで寝る博士は、時々寝言を呟いていた。シドナは博士の寝顔をしばらく見つめた。

「ありがとう、博士」

 シドナが囁くと、それに答えるかのように博士が笑った。すぐに小さくいびきをかくのを聞いて、シドナは優しく微笑んだ。


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