ランネ・ラングイ
[第5話 蓄積される傷](1/5)


 年月が経ち、シドナは十歳になった。青い髪は変わらず短く、横に流れる前髪はそっと目元を撫でていた。その瞳は、常に遠くを見つめているようだった。奥に光るものを落としてしまわぬよう、彼女は俯くのを止めていた。

 廊下の端を歩けば「邪魔」と言われ、声を出せば「喋んな」と言われ、曲がり角で顔を合わせれば「最悪」と言われた。皆の歪んだ表情と声は、彼女自身を歪ませようとしていた。


 十歳になり、五年生になったシドナ達は魔法学を学び始めた。シドナは魔法が得意だった。




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