あなたの温度~ツインズ~
[心に寄り添う](1/27)

タクシーを拾い、あたし達は
タクトさんの店に向かった。
アキラさんの車が置いたままだからだ。

警察の規制線が貼られていて、
もう店の中へ入ることは出来なくなっていた。
二度とこの場所に来ることはないだろう。

アキラさんはしばらく規制線の向こうを
見つめていたが、

「行こう。」

とあたしの手を引っ張って車に向かう。

「蘭、助けを呼んでくれてありがとうな。
お前がそうしなかったら、俺たち今ここに
いねぇと思う冷静になった今、
俺はあの人のところには行きたくねぇや。」

車に乗り込んですぐ、アキラさんは
そう言ってあたしを抱きしめた。
あたしは泣けてきて、その腕を
ギュッとして首を横に振る。

すぐに前の様には無理かもしれないが、
少しずつ、またアキラさんの明るさを
取り戻していけたらいい。

つい先程折れかけた心は、ヒロトさんのお陰で
目を覚まし、前を向くことが出来た。
あたしが前向きでいれば、きっと





あたし達はアキラさんの家に戻った。
アキラさんは今日は疲れたから店は休む、と
シャワーをしてすぐに寝室に寝に行った。

あたしはアキラさんを一人にするのは
心配だったのでしばらくそばにいることにした。

そこでやはり塚田先生の言った通り、
アキラさんは夢でうなされ何度も目覚め、
全然休めずに心が不安定になりつつあった。

「明日塚田先生の所行きましょう。」

あたしがそう言うと、アキラさんは
首を横に振る。




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