あなたの温度~ツインズ~
[裏切り](1/11)

一月なかばアキラさんはマンションに帰らず
お店で寝泊まりするようになっていた。
仕事が立て込んでいる様子ではなかったが、

「忙しいから帰ってらんねぇんだ。」

と言った。もちろんあたしはそれ以上
問い詰めることはしなかった。
アキラさんが泣き腫らした目をしていることが
多かったからだ。

絶対タクトさんと何かあったのだろう
だけど言わないアキラさん。
ガキのあたしがでしゃばれなかった。



だが二月頭、結局その理由を知る事になった。
それは信じられない話で、あたしを
いや、爆鬼薇を動揺させるには容易かった。

ヒロトさんに、蓮とあたしを含めた四天王、
涼さんとマコトさん達元幹部が呼び出され、
あたし達は何事かとざわついていた。

アキラさんのお店で集まりみんなが揃った所で
アキラさんがいきなりあたし達の前で土下座し

「ゴメン。兎に角謝らせてくれ。」

とそう言った。あたし達は驚いて、
ヒロトさんは慌てて

「アキラ君は何も悪くねぇから!
頭上げて下さい!」

とアキラさんの腕を掴んだ。

「何があったんスか?」

涼さんが動揺しながらヒロトさんを見る。
よく見たらアキラさんもヒロトさんも
憔悴していて、今にも倒れそうに見えた。



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