恐怖の怪談話(怖い話)
[クラス替えアンケート](1/1)

子供の頃の奇妙な体験ってけっこうあるよね

皆の話を聞いててずっと気になってたことを書いてみる

毎年3月が近くなると「クラス替えアンケート」のことを思い出すんだけど俺以外にこんな体験した人っているかな?

俺が小学校4年生のときの話で、俺が当時かよう小学校はけっこうな大規模校で毎年クラス替えがあった

春休み中、3月の終わりに先生方の離任式があって、そのときに体育館に新しいクラスの名簿を張り出すんだけど親友や好きな女の子と一緒になりたいとか毎年すごくドキドキしたことを覚えている

その年、3学期の2月に入ってすぐ俺に一通の封書が来た
「クラス替えアンケート」
という文字が表に大きく印刷され教材会社の主催になってたけど

これまで調べた限りではその名前の教材会社は存在しないんだ

中身はどんな内容かというと

俺の小学校の4年生の中で絶対に同じクラスになりたくない人の名前を一名書いてくださいというもので
それを出した人には文房具のセットが当たるかもしれないということだった
当時俺は雑誌の懸賞に応募するのが趣味だったし、返信用のはがきが入っていたので、特に変だとも思わず同学年で一番嫌ないじめっ子の名前を書いて出してやった

実は俺はその名前を書いたやつと家が近所で、登下校でよく嫌がらせをされていた
別のクラスだからまだよかったものの同じクラスになれば本格的なイジメを受ける可能性があって、絶対に同じクラスにはなりたくないと思っていた
5年生は6クラスあるから可能性は低いんだけど

その後すっかりそのアンケートのことは忘れていたんだけど3月に入ってすぐに同じ名前の
教材会社から大きな封筒が届いた
それで前のアンケートのことを思い出したんだけど

内容は俺に文房具セットが当選したというもので、そこまでは不思議はないんだけど

その文房具セットが送られてくるには条件があって一つやってほしいことがあると書いてあった

それから、俺が名前を書いてやったいじめっ子とは同じクラスにはならないだろうということも書かれていて
まだクラス替えの先生方の会議も行われていない時期のはずだったのでそれはちょっと不思議だった

その封書の中には一つ厳重に和紙でくるまれたお守りのようなものが入っていて、その表には
俺の住んでいる地域から遠く離れた県名と知らない小学校名、それから5年生という文字と
やはり知らない男の子らしい名前が気味の悪い赤い字で大きく書かれていた


それを俺の住んでいる地域にある神社
これは古くて由緒があるけれど大きなところではなくてほとんど普段は参拝する人もいない忘れ去られたようなところなんだけど、そこの境内にある松の木に3月8日の午後9時以降に釘で打ち付けてほしいという内容だった

それをやったら懸賞のセットを送ってくれるということみたいだった
それからその封書は前に来たものとともに一切が済んだら近くの川に流してほしいとも書かれていた

これはすごく不思議で最初は仲のよかった中学生の兄に相談しようと思ったけど、封書にはこのことは誰にも話してはいけないと書いてあったのでやめにした

神社は自転車で5分程度のところにあり、そのお守りのようなのを釘で木に打ち付けるのは難しいことではない
雪の降る地域でもないし、寒いけど9時過ぎに15分ほど家を空けるのは何でもなかった
その封書とお守りは自分の勉強机に入れておいた

3月8日になった

おれは手紙の依頼通りにやることに決めていて夕食後9時を過ぎてからそのお守りとどこにでもあるような釘とカナヅチを持って、グランドコートを着て自転車で神社に出かけた

その神社は住宅街のやや小高い岡の上にあって、俺は下で自転車を降りて幅の狭い石段を登っていった
石段にも神社の境内にも一つずつ街灯があったので暗いけど足元は見えた
もちろんまったく人影はなく、さすがに気味が悪くて早く終わらせようとコートのポケットからお守りと釘とカナヅチを取り出し、走って何本か鳥居をくぐり神社までの参道からわきに入って、おみくじが結びつけられたりしている松の木を一本選んで、自分の頭の上くらいの高さに名前が書かれているほうを表にして、真ん中に強く二・三度釘を打ち付けた

すると手の中でそのお守りが微妙に動いた感覚があって、俺は思わず手を離したけどお守りは木に固定されて落ちなかった

そのとき10mほど離れた神社の脇から急に人が出てきてこっちに向かって大きな声で「見届けた」と言った

その人の姿は暗くて、あとで思い出してみてもどんな服装だったかもわからなかった
声は男のものだった

俺はもう完全に怖じ気づいていたのでそのまま後ろも見ないでカナヅチを放り出して走って石段を下まで降り、自転車に飛び乗って家に帰った

ここから書くことはあまりない

俺がアンケートに名前を書いたいじめっ子はその1週間後に自転車に乗っているときにトラックにひかれて死んだ

封書などは指示どおり近くの川に流した

4月に入って有名なデパートから立派な文房具セットが送られて来たが、封書にあった教材会社名はどこにもなかった

その後一回も連絡はない

神社には何年も立ち寄らなかったので木に打ち付けたものがどうなったかわからない

カナヅチをなくしたので親父に後でしかられた

一番気になるのは、そのお守りに名前があった知らないやつだが、どうなったかはもちろんわからないし調べてもいない

改めて書いてみるとやっぱり奇妙な体験で、すべて自分が想像で作り出したことのような気もする

文房具セットは兄にずいぶんうらやましがられたけど、たんに懸賞に当たっただけなのかもしれない

こんな経験をした人って他にいるんだろうか?
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