恐怖の怪談話(怖い話)
[赤口さま](1/1)

皆さんは赤口(しゃっこう)さまって遊び知ってますか?

こっくりさんみたいなものなんですがこっくりさんは占いとか降霊術の為じゃないですか

赤口さまは違うんです。赤口さまは呪いの為
つまり根本的に目的が違うんです

聞いた事ないって人がほとんどだと思います

それもそうでしょう。これはもともと「表」の遊びではありません

もともと「遊び」という言葉は今使われている意味ではなかったそうです

「神」との交信の様な意味だったそうです。この遊びはそういった意味の「遊び」なのです

私がこの遊びを知ったのは去年同僚のSと飲みにいった時の事でした

「Oのヤツ、ホント腹立つな」

ポツリとSが漏らした言葉に私はおおいに賛同しました

Oというのは私達が所属していた部署の上司で性格が悪い上に部下の手柄を横取りしたりするような人間で職場の皆に嫌われていました

しばらくOの悪口を言っていた私達ですが

「なぁ。Oに一泡吹かせてみんか?」

興味を持った私はSに詳しく話しを聞いてみました

聞くところによるとSの実家の方には赤口さまという呪法があるそうです

それを行えば呪った相手に様々な危害を与えられるというのです

酔っていた事もあり私は「やろうやろう!」と承諾してしまいました

それから一週間後の事です

私の携帯にSから電話が入りました

「おうKか?こないだ言ってた赤口さまやるからHの家にきてくれや」

すっかりそんな話など忘れていた私は正直めんどくさいのでいやでしたが、しぶしぶ行く事にしました

軽く着替え車に乗り込みHの家に向かいました

「いつのまにかHまで巻き込みやがって…」

そんなことを考えながらHの家に着きました

中に上がるとSとHが私を迎えました

「おう、よく来てくれたな。これ3人じゃないとできんのよ」


そういえばこの間もそんな事をいっていました

「これやるには3人じゃないとできん、できんのよ」

なぜ3人なのかはその後のSの説明で解りました

まず赤口さまをやるには3人が等間隔で三角形になるように座ります(正三角形ですね)

そして3人の前に一枚ずつ紙を置きます

紙には50音を書いておくのですが

今私達が使っている「あいうえお」ではなく「いろはにほへと」のほうで書きます

そして裏面に自分の名前を書きます(Sの前の紙ならS、Hの前の紙ならHです)

一人目は二人目の方を向き二人目は三人目の方を向きます

3人目は三角形の中央を向きその中心に赤口さまへの供え物と同じく50音を書いた紙を置きます

ちなみに「供え物」はSがどこからか拾ってきた野良猫で遊びでも気味が悪いと思いました

「じゃあ始めるか」

Sに教わった通りに私とHは怪しげな言葉を紡ぎました

順番はH→私→Sです

H「一つ一人の恨みを連ね」

私「二つ二人の恨みを重ね」

S「三つ御霊を御呼びしたい」

やはり周りにはなにも変化はなくHが「ははは、やっぱこんなもんか…」

その時でした。辺りの空気が変わったのが感覚で解りました

さっきまで何ともなかった空間が急に重苦しくなり言葉を発する事すらできません

3人とも無言になり辺りが異質な静寂に包まれました

見るとSが顔を真っ青にしながら手を4枚目の紙に伸ばしています
指は文字を指し占め始めました

「う ら み つ ら ぬ る も の を し め せ 」

次にHの顔が青ざめ自分の紙に指を這わせます

「・・・(Oの名前)」

Hまでがおかしくなり私はこの場から逃げ出したくなりました

しかし異変は私にも起こりました

指が勝手に紙へ向かうのです

そして紙の上で止まりました。つまりは恨む相手を教えろという事なのでしょう

「・・・」
自分の意思でOの名前を指しました

正直ここまでの事が起こるとは思いませんでしたし、もしや本当にOに何か起こるかもしれない…そう思いましたがどうする事もできません

そしてSの番が来ました。Sの腕は中央の腕から自分の紙へ移り

「・・・」
こうして3人が3人ともOの名前を出しました

もうこの後どうなるのか3人とも死んだような顔をしていたと思います

するとまたSの腕が中央に向かいました

「う ら み つ ら み し か と と ど け る  か わ り に く ち に の り を さ せ よ」

途端ビクンとSが震えました。次の瞬間Sは猫に覆い被さります

ボシュッ

そんな感じだったと思います

Sは猫の首に喰らいつき骨を砕き肉を喰らうSは正に鬼でした

猫は目を飛び出しそうな程見開きましたが間もなく気味悪く痙攣し始めました

そのままSは頭に口を移し猫の頭部を三分の一程喰らったと思います。猫の頭から脳らしき物がずり落ちていました

Sの口は猫の血で真っ赤に染まっていました

恐らくこれが赤口さまの由来でしょう

そこでSは正気に戻ったようです。その場で嘔吐し猫の一部だった物はその場にでてきました

Sはそこでうずくまりガタガタと震えていました

私とHで無言のまま猫の死骸を片付し、あの時の嫌な匂いはしばらく忘れられませんでした

どうにかSを落ち着かせ自宅に送りました

一人家に残されたHはさぞSを恨んだでしょう

猫の血だけはどうしても落ちず後で床を一部取り替えたそうです

次の日、昨夜の嫌な事を思い出していた私は会社に行きさらに驚きました

昨夜Oが車に引かれ死んだというのです

しかも一度引かれた後に二代目の車にひかれ、頭部は破砕

即死だったとの事でした

私とS、Hは罪悪感よりも恐怖に怯えました

いい様のない恐怖でした

私達は絶対に他言すまいとこの話を封印しました

Sはしばらくして会社を辞めました。今はというと精神科に入院しています

あのあとしばらくしてSはHを食べました。ちょうどあの後から4日目でした

といってもHは右耳を食いちぎられた程度で済みましたが…

Sはそのまま施設に送られました。Hと私は今も会社に勤めています

何故この話をここで書いたかというと私のところに赤口さまがたびたびくるからです

「ま だ ま だ た べ た り な い た べ た り な い 」

と言いながら

もしかしたら私もSの様にHやSを食べてしまうかもしれません

もしかしたら…その逆も…

そう考えると誰か他の人に赤口さまを呼び出してそっちに移ってくれることを願っています…
- 10 -
前のページ[*][#]次のページ
⇒しおり挿入
/341 n


[編集]

[←戻る]