ひと夏の恋
[あっつい夏に潤いを](1/6)

「あ〜もっ暑い!」

ブツブツ言いながら立ち上がり、
冷蔵庫へ行き顔をつっこむ。


さっきからこのくだりを繰り返して
るあたしの友人。彼女の名前は、
粟田紗理奈。もうほんとに…
暑いのはあんたが動き回るからだよ
とは言えずにあたしは黙々と
課題に取り組む。

あたしは、彼氏いない歴22年で
年齢=彼氏いない歴更新中の
蓮川薫子(はすかわかおるこ)。
言い訳に聞こえるだろうけど、
彼氏なんて欲しいと思わない。
だけどやっぱり言い訳に聞こえる
からみんなには言わない。

「薫子!あーつーいー!
いいかげんに冷房つけよっ」

冷房のリモコンに手を伸ばす紗理奈に
対してあたしはリモコンを向こうにやる。
「ちょっと待って!今月ヤバいの
分かるでしょ?我慢して!」

あたしは立ち上がって座ってる
紗理奈に言い聞かせる。

「あんた顔可愛いのにそんなちっちゃい
ことばっか言ってるから男が寄って
こないのよっ!しみったれたこと
言ってんじゃないのっ!ほらリモコン
よこしなさい!ほらっほらっ」

あたしたちはいつもこんなやり取りを
して、余計暑くしている。

紗理奈とは高校からの親友。
目指す夢は違うけど、一緒に上京して
同じマンションに住んでいる。

「ほらっ涼しい〜」

リモコンを取り上げられて、
努力も虚しく冷房をつけられてしまった。
「あー!もお〜‥でも涼しい…w」

「あたりまえじゃん!いまどき
この季節に冷房なしなんて考えられ
ないしっ!素直じゃないんだから」


大学3年の夏、課題に追われてます。





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