氷姫

§α[再び、学祭](1/17)






「告られた」


「………ぶっ!!」



丸森高校、通称丸高の学祭3日目。


つまり、演劇の開演直前の舞台裏。




“バレエが出来る可愛い女子がいる”という安直な理由から、万雪のクラス、3の6は『白鳥の湖』をやることになった。


王子役に抜擢されたのは、古崎知道その人である。




「何故それを今言う!?」


舞台は間もなく開演する。


昨年とは違って、彩名の威圧感勝ちでなってしまった脇役の衣装姿で、万雪は飄々としていた。


「タイミングなくて」


「タイミングって………いや、それもそうだが」


生徒会で副会長を務める知道は、学祭前から確かに忙しかった。


─それでも、これは無いだろ!


「あ、始まった」


「え、もう」


他人事のような彼女は、全く動じず、先にある出番に備えて最終衣装チェックをする。



薄暗い舞台裏とは対照的に、舞台上の主役は華麗に舞う。


スポットライトを一身に浴びて───





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