恋の魔法と甘い罠U
◆[不安](1/32)
◇◇◇
「もっと遠くに行かなくてもよかったのか?」
「うん、だって遠くに行けば行くほど時間もかかるし疲れるでしょ?」
「まあ、そうだけどさ。でも行きてーとこあったんじゃねーの?」
行きたいところがなかった、と言えば嘘になる。
「ううん、あたしは一緒にいられればそれでいいから」
一週間あるはずのゴールデンウィークの休み。
なのに晴希さんは休日出勤が重なってしまい、三日しか休みがとれなかった。
ほんとは遠出しようか、なんて話していた。
けれどどこに行っても渋滞したり、混雑して窮屈な思いをするだけ。
そう思ったら、わざわざ遠くに出掛けなくても、あたしは晴希さんとふたりでのんびり過ごせればいいと思った。
だから県内にある温泉に行くことになったんだ。
- 44 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
[編集]
[←戻る]