あいつが逝った空へ

Y[過去](1/6)




「は…やと?」


やっと目が覚めたお前は
まだ頭が働いていなくて


ぼんやりと
俺を見ていた


またその瞳に
俺が映ったんだ


嬉しかったような
哀しかったような…


よく覚えてない


「恭弥って、誰?」


もう
間違えられるのは嫌だ


元カレということしか知らない


だから
もっと知りたい


お前とそいつの間で
何が起こり
どんな気持ちなのか


それが知りたかった


お前は一瞬目を見開き
目を伏せた


きっと
何も言いたくないんだろう


でも
俺としては
知りたかった


お前は
そんな俺に気付いてか
言葉を零した


「恭弥は、2年前に亡くなった私の大切な人だよ」


枯れたはずの涙を
また流すお前


俺の涙腺さえも
暑くなる


やっぱり
本人から直接聞くのは
つらかった…






- 56 -

前n[*][#]次n
/99 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?


[←戻る]