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�ｴ[奥様とワタクシ](1/1)

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ワタクシはコーヒー
ワタクシはブルーマウンテン



奥様は元令嬢
奥様はひとり



奥様はため息をつきながら、写真立てを見つめていた。



ワタクシは美しいカップに注がれ、奥様のもとへ…



奥様はテーブルに置かれたワタクシを見た。



椅子に腰かけたあと、じっとワタクシを見ていた。



「おじいさんったら、私を置いて逝っちゃうなんて、あんまりよね。」



無理な笑顔をワタクシに向けた。



「おじいさん、貴女が好きだったのよ？“やっぱり、世界一のコーヒーだ”って。」



旦那様はワタクシをこよなく愛してくれた。



「おじいさんと私と貴女の楽しいお茶の時間はもう、戻ってこないのね…」



奥様はワタクシを連れて、ベランダに出た。



春の匂いがした―



冷たい冬はもうすぐ終わりそうだ―





- 3 -

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