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　金曜日になった。

　月曜日に来社してから深海さんの姿を見ていない。

　会社自体近いとは言うものの、外で偶然会うなんてこともなかった。

　琴美の言っていたイヤな予感……つまり女のカンとやらどうやら当たらなかったらしい。

　この一週間、悪いことはなかった。

　……まあ、いいこともとくになかったけど。

　千藤くんとの関係は相変わらず。

　会社の中では話すことがないし、毎日連絡を取り合うような仲でもない。

　水曜日にたまたまコンビニで会ったときは、駅まで一緒に歩こうということになって、別れる間際に人目を盗んでキスをしたけど。

　……それだけ。

　千藤くんが答えを出すのがいつになるかわからないけど、それまではこういう関係がいつまでもいつまでも続くのだ。

　こんな状態ではこちらから好きとも言えない。

　離れることすらできない。

　蛇の生殺しだ。

　気持ちが宙ぶらりんになっている。

　……でも、それでもいいと言ったのはわたしだ。

　琴美がこのあいだ言ったみたいに、つらいけど今はひたすら千藤くんを待つしかない。