…………………………………… ゲレンデマジック(2/7)…………………………………… 「行こう!瞬!」 「ちょ、明日香、」 って事で嫌なのに着いてきたけれど、長いこと車に揺られてゲレンデに着いた瞬間、瞬は幼なじみの明日香ちゃんに腕を引かれて消えてった。 目の前には真っ白くて、滑れない私にはただの絶望でしかない山々がそびえ立っている。 どうしてくれようこの状況。 ダメだ。 自分の今の状況に笑いすら込み上げてくる。 あーあ、笑顔なんかに惑わされないで断ればよかったなあ。 「あれー?瞬は?」 明日香ちゃんと同じく瞬の幼なじみの優希くんが、ブーツをはきながら瞬を探している。 安心してください。 遭難じゃありません。 リフト乗ってますよ。 「瑞希ちゃーん、瞬居ないし一緒に上行く?」 「あー…はは、私滑れないから残るよ」 「え?まじ?」 「…うん。まじです」 すみません。 この板の付け方さえわからない状態です。 「もしかして初めて?」 「…うん。瞬が教えてくれるって言ってたんだけど…」 「は?まじで?つーか瞬どこ行ったの?」 ちらりとリフトに目をやると、何だかんだで明日香ちゃんと楽しそうに話してる瞬が見える。 優希くんにもそれが確認出来たのか、呆れたように軽くため息をついた。 「あー、なるほどね。あいつ本当空気読めないからごめんね」 「はは、まぁ、適当に時間潰すし気にしないで」 「え、俺教えるよ。行こ。まず付け方教える。」 何してるの、早く。 そう急かす様に私を見つめる優希くんは、ゲレンデのマジックとか関係なく普通に格好よくて正直戸惑った。 「でも、…悪いし」 「悪いのは瑞希を放置してる瞬でしょ。ほら、行くよ」 ぐい、と手を引かれて歩き出す。 然り気無く呼び捨てにされちゃったりして、なんかもう色々といっぱいいっぱいなんですけど! 「瞬じゃなくてごめんね。」 「え?」 「瞬が良かったでしょ?」 意地悪そうに笑う優希くんは、一体どこまで気づいてるんだか。 「優希くんて見た目のまんまドエスだよね。」 「えー?俺は瞬と違って優しいと思うんだけどなあ」 「…そういうところね。」 …………………………………… back[*]|[#]next…………………………………… …………………………………… …………………………………… ⇒作品?レビュー⇒モバスペ?Book? …………………………………… [edit]…………………………………… [←戻る] |