わがままハニー

……………………………………
落雷(2/2)
……………………………………





「折角DVD借りてきたのにねえ」

「つーか、これじゃああいつらも来れねえな」



アキとは、ただの高校のクラスメイト。

仲はいいと思うけれど、
みんなで遊んだり、
みんなで出掛けたり、
その程度の間柄。


私は、彼の事が好き。
でも、アキは違う。


アキにとって私は、みんなの中の、友達の中の一人。








「みんなに連絡してみる?」

「んー、とりあえずあんまり電池浪費しない方がいいんじゃね?」

「あ、そっか。アキくんてば案外頭が使えるではないか。」

「お前は考えなさすぎ」




アキは優しくて、友達も多い。

気に入らないけど結構モテるみたいだし、なんならこの状況で私と代わりたい女子は山程いると思う。


まぁ、
絶対に代わってあげないけれど。










「ハル?」

「ん?なに?」

「いや、急に黙ったから寝たかと思った」


「…まぁ、やることないしそれでも良いけど」



まぁ、そうだな。

と、どうでも良さそうなアキの声がして、次の瞬間、どうしてか私の腕が凄い力で引き上げられた。






「な、なに?流石にびびるわ」

「寝る?」



引き上げられたのは、アキの匂いが染み付いたベッドの上。

冗談を言うにしても、これは笑えない。






「…君は、 私が一応女ということを忘れすぎじゃないかな?」

「は?忘れてねえよ」

「そう?なら気軽に誘わないでよね」





「…気軽じゃなきゃ、いいわけ?」






そういって私を抱き締めたのは、見えないけれど多分アキ、いや、どう考えても、アキしかいないわけで、





「え、どうしたアキくん」

「ハルが停電怖いよう!って泣いてるから抱き締めた」

「ちょ、泣いてねえわ!しかもそれモノマネ?超絶似てないわ!」






「…はぁ、本当ムードねえな」





ぶにゅ、っと勢いよく両頬をつねられて向かい合う。




あぁ、ダメだ。

目が慣れてきて、アキの顔がよく見えてしまう。






「ハルは女の子なんだから、もっと危機感を持ちなさい」

「…別に…アキしかいないし」


「あのね…俺も一応男なんですけど」


「…知ってる」






知ってるに決まってるじゃん。


っ、ダメ。

これは完全に、雰囲気にのまれるやつだ。








「…ハル、」

「わ、私だって、アキだからこういうのも許してんだよ。」











フラれてもいい。

だからもう、アキに想いを伝えてしまいたい。














「…アキの事、好きだから」







アキは黙ったまま、ほっぺをつねっていた手を離して私の背中に回した。

距離がまた一段と近付いて、落ち着くはずのアキの香りに、意味がわからないくらい動悸が激しくなった。






「…俺も、ハルが好きだよ」

「っ、うそ!」

「残念ながら本当です。証拠見せようか?」









そういって距離を縮めてきた途端に電気が復旧するあたり、私達らしすぎるなっていって笑った。







(終)






- 58 -
……………………………………
back[*][#]next
……………………………………
⇒shiori
/75 n
……………………………………
……………………………………
⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ookト
……………………………………
[edit]
……………………………………
[←戻る]