わがままハニー

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修羅場(1/4)
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会いたい、

なんて、

そんな甘えた乙女思考の時は絶対に会えないのに、どうしてこんな時ばかり会えてしまうのだろう。

この街にはあり得ないほど人が溢れているのに何故、こんな時ばかりなんだろう。




神様が本当にいるとすれば、多分、かなりの意地悪野郎だと思う。













華の金曜日の、午後八時三十分。

私からの誘いを仕事だからと断ったはずの恋人が、知らない女の子と腕を組んで歩いてた。







「祐ちゃんの知り合い?」



道端で目があって、彼はしまったって顔して急いで俯いたけれど、私の目にはばっちりデレデレの顔が焼き付いた。




「し、知り合いっていうか、」




恋人だよ。

なんて、口が裂けても言えるはずないこの状況。

可愛らしい呼び名で呼ばれて、私にはもう滅多に見せないような笑顔を見せて、

本当に、最悪な出会い。











「三嶋、お前何してんだよ。さっさと行くぞ」

「あぁ。うん、ごめん」



唯一の救いだったのは、私が一人で居たわけではない事。
祐介に断られて寂しく週末を過ごす予定だったのに、同期の高原が飲みに行こうと誘ってくれたのだ。







「三嶋の知り合い?」

「あー、まぁ…ちょっとね。」



小声で彼氏だと言えば、高原の機嫌がみるみるうちに悪くなるのがわかった。


…高原、そういうの嫌いだからなあ。








「三嶋の同僚の高原です。」



そして何を思ったのか次の瞬間、今度は素晴らしすぎる笑顔で祐介とその隣で無邪気に笑う女の子へと名刺を渡した。

しかしまぁ、流石営業部のホープなだけあるよね。
営業スマイルだなんて気付いてない女の子は嬉しそうに名刺を眺めてから、チラチラと高原に視線を送ってる。




「凄く素敵な彼女さんですね。お似合いだなあ」


…高原くん本気爽やかモードですね。


高原に微笑まれた女の子が何を思っているのか、手に取るようにわかる。

三嶋さん素敵!絶対にこの一択。

責任取る気もないくせに他人の彼女を誘惑して、何するつもりなんだか。






「良かったらこれから一緒に飲みませんか?」

「は?ちょ、高原?!」

「いいじゃん。三嶋も二人の話聞きたいだろ?」



笑っているのに、目が笑ってない。
高原が怒っている時の冷たい笑顔だ。

彼女に至ってはもう高原の愛想笑顔に夢中で、祐介くん終了のお知らせが大きな音を立てて鳴り響いた気がした。







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