わがままハニー

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フィクション(5/5)
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やましい事をしているからか、良くない事ばかりが連続で起きる。


渋滞、大雨、


終いには、立ち寄ったサービスエリアであの時見た後輩の女の子と遭遇してしまった。






「聡さん、」

「…ユミ…なんで…」



私とは違って、可愛らしい女の子。



「知り合い?私あっちで飲み物買ってくるね」



記憶がない振りをしているのだから別に気にすることもないのに、
それでも、やっぱり正面からは見たくなかった。



楽しそうに話している聡とユミさん。

私がいなければ、二人はもっと楽しく過ごせるのだろうか。




…ダメだな。嫌な方にばかり考えてしまっては一緒にいても疲れるだけだ。







「お待たせ、麻里。ごめんね。」

「…なんで、謝るの?」



別に大して待ってなんていないのに、酷く眉を下げて謝るからつい聞いてみたくなった。





「…麻里がケガする前、あの子といるところを見られたんだ。」

「それは…浮気してた、ってこと?」

「俺は、正直本当に軽い気持ちで、誘われたから出掛けただけだった。でも、もしそれが反対の立場なら、凄く嫌だったから」

「そんな不利になる事、今言う必要あったの?」

「…そう、かもね。でも、フェアじゃないから。」




フェアじゃない、なんて、そんなのー…




「麻里。」

「…何?」


「もしこのまま記憶が戻らなくても、俺の側にいてほしい。」

「…え…?」

「勝手なのはわかってる。今の麻里の気持ちも全然考えてあげられてないし。でも、それでも、側にいてほしい」

「聡…」





さっきは目をそらした、聡の泣き顔を見る。

もし、私の記憶があるとわかっても、おんなじことを言ってくれるだろうか。






「聡、ごめんね。」

「…麻里?」






抱き締めて、キス。

王子様の目を覚ますための、最後のキス。









「ごめんね。…本当は、忘れてなんかいないの。」


「…え……?」


「もう聡と、さよならしたかったの。全部忘れて、痛いのとか苦しいのとか、全部無かったことにしたかったの。」

「…嘘、ってこと?」

「…うん。最低でしょ。だから聡にそんな事言ってもらう資格もないんだよ。」







「麻里にそんな、酷い嘘つかせたのは俺だね。ごめん。」


「…バカなんじゃないの…そんなこと言って」


「だって、別れたくないから。そしたら俺は麻里を許さなきゃダメだし、麻里も俺を許さなきゃダメでしょ?」



ほら、麻里も謝って。
そういってもっと強く抱き締めてくる彼に、なんにも言えずに謝り続けた。













「麻里。今から、遊園地に行こうか。」



激しく降っていた雨もいつの間にかやんでいて、一面驚くほどの青空が広がっていた。




「…うん。」




またここから、新しく始めよう。

聡とだから、そう思えた。






(終)








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