…………………………………… 煩う(1/3)…………………………………… 初めはーーそう、ただの興味本位。 家の近所に昔からある、お化けでも出そうな古ぼけた屋敷。 そこへ越してきた変わり者を、一目見たいと思っただけだった。 それなのに、 たったの一目で恋に堕ちるだなんて、誰が想像しただろう。 「カガミさん、」 「…またお前か。」 「上がってもいい?」 「…勝手にしろ」 彼を初めて見たのは、私が中学一年生の時。 窓際で気怠そうに煙草を吸うカガミさんに、私は一目で恋に堕ちた。 あれから三年。 私ももう、高校生になった。 それでもまだ、カガミさんには釣り合わないけれど。 「カガミさん、」 「…何」 「私、今日告白されました」 私の言葉を聞いても、カガミさんは興味がなさそうに ふーん、と呟くだけ。 「気に、なりませんか?」 「気にする必要、ある?」 「…無いですけど、」 自分から聞いたくせに、もう今すぐにでもこの話題を終わらせたくなった。 カガミさんの中での私って、どんな存在なのだろう。 近所のガキ? それとも、妹くらいには思ってる? 「ミハル。」 「何ですか?」 「俺とどうにかなりたいなら、もう少し色気出してから言えよ。」 かぁ、っと顔が熱くなる。 色気、なんて、今の所どこからどう見ても私には無い。 …………………………………… back[*]|[#]next…………………………………… …………………………………… …………………………………… ⇒作品?レビュー⇒モバスペ?Book? …………………………………… [edit]…………………………………… [←戻る] |