わがままハニー

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あけぼの(1/7)
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最近、少しだけ気になる人が出来た。








「春香ー、来週の日曜日に先輩達とバーベキューするんだけど来る?」


「んー、来週かぁ。先輩って?有明さん?」


「うん。より戻したならまた連れて来いってしつこくて」





困ったように眉を下げて笑う秋人の顔が、私は昔から好きだった。

出会ったのは大学で、それからの付き合いだからもう五年。
付き合う前から優しくて、何年経っても私の事を好きだと言ってくれる彼は、とっても自慢の彼氏だった。










そんな秋人に一方的にサヨナラを告げたのは、つい半年前の事。

仕事の事だけでいっぱいいっぱいになって、誰かと一緒にいる事が酷く煩わしくて、
私から別れを切り出した。



秋人が嫌だったわけじゃない。
私が、自分の事しか可愛がれない馬鹿野郎だったから。

秋人以上に私を甘やかしてくれる人なんているわけないのに、いつも支えてくれた秋人を手放した。










一人になって冷静に考えて、

死ぬ程、後悔した。








だから、別れてから初めて秋人に連絡をした時は、今までしてきたどんな事よりも緊張した。
呼び出して会って、それから寄りを戻したいだなんて頭のイカれた事を告げようとしているのだから。



あんなに酷い言葉を連ねて突き放して、会ってもくれなくても仕方が無いくらいなのに、


それでも、

それでも秋人は、嬉しいって言って抱き締めてくれた。








「わかった、来週ね。」


「あ、春香の知らない人も何人かいるけど大丈夫?」


「大丈夫。有明さんに会うのも久し振りだから楽しみだなぁ」










だから気になるんだ。

別れていたたった数ヶ月で、秋人が惹かれたっていう女の事が。










「よく思ってもらえるように頑張るね。」

「…頑張らなくて良いよ。春香の事好きになられても困るから。」






秋人が前に進んだ先に居たその人を、
ただその人を、一目で良いから見てみたいの。

この優しい手で、守りたいと思った私以外の人を。





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