Goddess Around The World ヘラの冒険3 金髪のJUJU(ジュジュ)
[第3章『ヘル将軍の逆襲』](1/8)
ヘラは突然にリン・コーダクを見た。

その顔をじっと見た。

『……』

心の中でも何も言わない。

ただ彼女の丸みを帯びた輪かくの中にある、ふたつの垂れ目をじっと見つめた。

『ヘラ様…?、……!!』

リンは驚き、身構えた!

そして声を上げた!

「みんなあ!敵がいる!襲撃に備えよっ!」

女神たちはみな一斉に身構えた。


その刹那、ヘラの脳内に衝撃があった!

しかししっかりブロックされていて、ヘラはニヒルに笑った。

『何っ!?』

驚愕の声が上がり、次の瞬間大きな男が彼女の前に突然現れた。

「将軍、アンタはもう終わり……」

ヘラが言い終わらぬ内にヘル将軍は体当たりをした!

リンたちは目を見開いた。

何も出来なかった。

それほどの速さであった!


しかしヘラの身体はびくともせず、逆に将軍の身体は跳ね返されてしまった!

数メートル先の床に転がってしまった。

ヘラを見上げる将軍。

その顔は恐怖に歪んでいた。

「お、お主は……、な、何者だ!?」

しわがれた声でやっと言う。

ヘラはしっかりと、しかし静かな声で一語一語、噛み締める様に言った。

「我れは……、天空の……、最高神……!ヘラ!!」

「……!、…………!!」

驚愕のあまり、声も出ない。


横でリンが手のひらを前に向けた。

『リン!待て!』

『!……はぁっ!』


しばらくの時間、将軍はヘラを口をポカンと開けたまま見つめていた。

「う、嘘だ…!」

彼は一言だけ発して、後は押し黙ってしまった。


「!!!、うぬっ!?」

ヘル将軍は虚を突いてテレポーテーションしようとした!

しかし空間に強力なバリアが掛かっていた!

「無駄だよ、将軍。貴殿は軍人として潔く死ぬが良い。これ以上の抵抗は無意味だ」

ヘラは落ち着いた声で言った。


「……ん!、くうぅ……」

彼は床に頭を擦り付け声を殺して泣きいった。


しばらくしておもむろに声を上げた。

「天空の大御神、ヘラ様!私が死ぬ前に1つ頼みがございます!どうか聞き入れてほしい!」

「……出来る限り、叶えよう」

「我人生最期の頼み、うまい酒を楽しみたい。よろしいか?」

「うむ。よいぞ。リン!」

「はぁっ!」

「ああ待て。時に将軍、デス星人はどんな酒を呑むのだ?」

「ポロポロの実を長年発酵させて作る『ジャンガル酒』だ」

「そうか……。ではリンよ!貴殿は何もせずともよい」

「(ガクッ)はぁっ!」

『ミカエル!聞こえるか!?』

『!!、ヘラ様!いかがしました?』

『作戦中に悪いのだが、直ぐにBARに飛び、ジャンガル酒をひと瓶持ってきてほしい!よろしいか?』

『了解しました!』

Shyin!

ミカエルが1本の洋酒とグラス2つを抱えて現れた。

それらをヘラに手渡した。

「作戦中、すまなかったな。すぐに責務に戻ってくれ」

「はぁっ!」

ミカエルの身体が消え去った!

「どうする?将軍。一人で楽しむか?それとも私も付き合おうか?」

「いや、最期の一杯はやはり一人で楽しみたい」

「……ふむ。よいだろう。部屋は移るか?」

「ああ、隣の部屋で飲もう。では!さらばだ!」

「ああ……」

ヘラは優しく微笑んだ。












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