君と描く未来【完】
[やきもちー杏子sideー](1/20)
私の心が狭いのだろうか。
28歳にもなって、こんな小さなことを気にしているのは大人げない…
わかっているけど…
「優木先輩!」
さすがに目に余る。
大翔と同じ部署で大翔の一つ後輩、上野愛ちゃん。
おまけに大学も一緒だったらしい。
「顔、怖いわよ?」
郁美の声に、図星をさされてしまった気分だ。
「…気にしてない。」
そう、気にしていない。
たかが、同じ部署の後輩が甘〜い声を出して彼に密着していたとしても。
私はまったくこれっぽっちも、気にしていない。
「優木君にちゃんと言ってもらえばー。」
さすがにあれはない。
いつになく低い声を発した郁美に私の方が怯みそう。
昼休みにこうして二人を見るのはもう何度目かな。
もちろん、二人きりではない。
ただ食堂のど真ん中でああもいちゃつかれたら、嫌でも目立つというのに。
ああ…ほら、また腕なんか組まれてる。
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