君と描く未来【完】
[誕生日の願望ー杏子sideー](1/18)






「特別なことは本当にいらないんです。ただ、俺の部屋で借りてきた映画を一緒に観たり…杏子さんの手料理が食べたい。」













大翔の誕生日をやっぱりちゃんとお祝いしたいと言った私に、彼は少し照れくさそうにそう言った。







「DVDも借りたし、買い物して帰ろ。」


大翔に自分の気持ちを打ち明けた次の週の休日、駅まで私を迎えに来てくれた大翔とそのままDVDを借りに行き、近くのスーパーへと向かった。




「大翔は何が食べたいの?」



繋がれた手が嬉しい、なんて思いながらふと聞いてみると、



「……笑わない?」



少し戸惑った声を出したので、



「笑わないよ?」



どういう意味だろ…

と不思議そうにした私に





「…オムライス。」


と小さな声で。




「オムライス?」



「あー、どうせガキくせーって思ってるでしょ。」



私は何も言っていないのに、目を逸らして少し不貞腐れている大翔がとても可愛く思えて、



「ふふ。」



思わず笑ってしまった。



「ほら、笑ってるし。」



でもそれは、決して馬鹿にしてるとかそういうことじゃなくて、



「可愛い…」



思わず漏れた声。






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