君と描く未来【完】
[04](1/18)
セットしたアラームより早く目が覚める。
それだけで何だか鬱陶しいような、そんな不快感。
特に意味はないのに、意識しているんだと思い知らされる。
顔を洗って丁寧に化粧をして丁寧に髪をセットして、何を着て行こうかなんて柄にもなく悩んでしまう自分が心底恥ずかしい。
「違う違う、なんだって良いのよ。…気にしてなんかないんだから。」
そう独り言のように唱えていても、手に取るのはどうしても可愛らしい洋服。
優木君と並んだ時にバランス良く見えるように大人っぽい物は避けようと無意識に思考が働いていて…
いつものような綺麗目なOLカジュアルじゃダメ。
少しでも若く見えるように、でも若作りに見えるのもダメ。
どうして私がこんなに悩まなきゃいけないのか……
「早く起きたのにもうこんな時間!?」
待ち合わせが11時、駅まで歩いて15分はかかるのだから……
あぁ、後10分後には家を出なきゃ。
全身鏡でくるくる回って念入りにチェック。
シワがないか、糸のほつれがないか。
…なにこれ、好きな人とのデートじゃあるまいし。
坂上さんならまだしも…
言葉にならない気持ちを一旦胸の奥にしまい込み、無心無心と言い聞かせながら私は家を出た。
- 66 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
[編集]
[←戻る]