キミの記憶のラストページ

1/17 幸福




『愛』の意味も『幸せ』の意味も、未だに解っていないのは俺だけではないだろう。


ただ俺には淳美のいない生活は考えられなかった。
好きだとか焦がれるような想いとか、色褪せた日々が続いていても別離を考えたことなどなかった。


それはきっと他人から見れば壊れてしまったガラクタにしか思えないものを、大事に机の奥にしまい込んでいるようなもので……。

日頃、手に取ることもしないくせに、他人に捨てろと言われると無性に腹が立ち『大事な物なんだ』とムキになる。



俺の淳美に対する接し方は、そんなふうだったかもしれない。



そばに置いておくことで安心していた。



でもそれは――


淳美にとって『幸せ』と呼べるはずもなかったことに、今更気付いても遅すぎる。







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