愛してるの5文字も別れようの5文字も言葉に出来ないわたしをいつまで貴方は好きでいてくれるだろうか。
"an one's ace in the hole"(最後の切り札)
左手の薬指が憎くてたまらない。いくらわたしと会うときは指輪をつけないでいてくれたとしてもドロドロ醜い嫉妬心とじんわり広がる罪悪感から逃れられるはずないじゃない。
そんなことしたってしなくたって現実がかわることのないことを知らないほど馬鹿じゃない。だけど指輪を外す貴方をみてそれさえも忘れてしまったかのように優越感にひたるわたしは可哀相。可哀相、痛々しい、苦しい、消し去りたい。
だけど、それよりずっと好き。
「、好き」
「…奥さんより?」
「……。いじわる」
「ふふ」
貴方の幸福をいつでも願ってるよ。だけどそれと同じくらい貴方の愛もほしがってる。貴方が幸福ならそれでいい。だけど貴方がわたしに愛をくれるだけでもいいわ。
だから、いつか。出来るなら深く貴方に刻み込まれるように、一生分の愛を込めて囁こう。最後の切り札。
わたしと別れるなら、もう浮気しちゃだめだよ。幸福をつかまえると約束した奥さんがいるんだから。これ以上わたしみたいな可哀相で悪い子を増やさないで。
もし、別れないのなら。貴方がわたしに愛してると囁いてくれるのなら。その薬指に新しい愛を誓ってね。
愛してる、
別れよう。
貴方がイエスと言ってもノーと言ってもわたしの勝ちなの。きっと。
「moon fish」様へ!
「Ao.○△□」より。
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