企画


 





ごしごし。床とにらめっこ。
シンデレラのように真面目に掃除をしていたら魔法使いさんは現れてくれるだろうか。なんちゃって。そんなことあるはずもなく、わたしはひたすら床をこする。
教室の床は一日さぼってもさぼらなくてもわからないくらいに、何度こすっても雑巾の色を変えてしまう。こんな床とははやくおさらばしたいところだけど、ぐーちょきぱーの勝負で負けてしまったのはわたしだ。それに雑巾を片手にあと5分は床を磨かなければいけない。
教室掃除の当番は5人。ほうき2人にからぶき2人に水ぶき1人。わたしと同じようにからぶきを手渡されたあの子は、わたしと同じような格好で床と奮闘中。同じ制服に同じクラス。同じ班に、同じ掃除場所。
その他もろもろ、同じことばかりで嫌になっちゃう。でもその中でも1番嫌なことがある。
わたしとあの子は好きな人まで同じだ。わたしが世界でいちばんアイツのことを想っているだなんて自惚れるようなことはしない。だけど周りの子には負けないくらいアイツのことが好きな自信がある。そんな自信、あってないようなものだけど。
あの子もまたわたしのように想っているのかもしれない。とりあえずわたしは、あの子は、アイツのことが好き。しかもその本人が同じ教室掃除だなんて。思わずため息が零れてしまいそうだ。
唯一違うことと言えば、あの子がアイツと両想いなところかなあ。わかったところでなに一つかわらない。なるべく二人が見えないように。この後掃除が終わったら、二人は一緒に帰るのかな。
胸がズキリと痛むのはずっと前から。どうすることも出来ないわたしは、下を向いて今日も床とにらめっこ。ああ、悲しいなあ。




悲しいな愛




キウイベア」様へ!
Ao.○△□」より。






  
  
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