企画


 





どうして?こんなに目をこらしてしまうの。見なくていいものは、見たくないものは、きつくぎゅっと目をつぶってしまえば良いんだ。
それでも 追いかけてしまう。どうしようもない感情。…君がわたしに笑ってくれたら、それだけで目をつぶれる気がする。
だけど、君がいつも笑いかけるのはあの子ばかり。


「いいかげんあきらめたら?」


やば、と思うよりはやく視界を遮られる。目の前にはあきれたような顔した友達。


「いいかげんってどのくらい?」


ヘラリとうまく笑ってかわしたつもりだったけれど、長年一緒にいる友達には効果が無かったようだ。
はぁ。小さくつかれたため息をわたしは見て見ぬフリをする。ヘラリと笑うわたしにため息をつく友達。まるでちぐはぐ。
ごめんね。全部わたしのために言ってくれているのはわかってるけど、言われてどうこうなることじゃない。
恋というものは始まりも終わりも曖昧ではっきりとしていないものだ。それに、そんなだから始まりも終わりもはっきりわからない。
周りからみればわたしの恋は終わっているのかもしれないけれど、残念ながらそうじゃない。
気づいたら目で追ってしまう。例え、彼がわたしをただの友達としか思っていなくても。これって、どう考えても終わりにしてはいけないと思うんだ。
あんなに苦しんでもこんなに切なくても明日もきっとかわらない。彼には好きな子がいて、あの子も好きな彼がいて、わたしも好きな彼がいる。
なんだか言葉にするとぐちゃぐちゃにしたくなるけれど、つまりはみんな同じように恋焦がれる心をもてあましているだけだ。
それだけは彼もあの子も、わたしも同じ。ただ、わたしが二人と違うところは、想いあっているかあっていないかだけ。
どうしてわたしじゃ駄目なの?だなんてばからしい考えを抱く自分を穴に埋めて葬りたい。わたしだって彼じゃなきゃ恋焦がれたりしない。
こんなだから、わたしは彼を無意識のうちに目で追ってしまう。
涙が滲む切なさも心臓をつかまれたような苦しみも和らぐわけないのに。強くなる想いに困ってしまうだけなのに。
駄目だ。そう想いながらもわたしの脳と心はいつでもちぐはぐ。




世界はわたしを愛さない( ちぐはぐ )




反時計回り」様へ!
Ao.○△□」より。


  
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