企画


 









神様の気まぐれ。
天気を創りだすのが神様だとしたら。神様は指パッチン一つで天気を変えてしまえるに違いない。そんなこと考えてしまうくらいコロコロと変わる今日の天気。

雨が降ったり止んだり、晴れたり、雲がモクモクしてきたり。
いい加減にしてくれ。
むしろどうせなら、


「雨、降らんかい!」


ソイヤーとでも合いの手を入れたくなるくらい気合いの入った叫びになっとしまった。
我ながらちょっと恥ずかしい。どう考えても彼氏(むしろ愛しの彼)の隣で出して良い声ではない。


「あほなこと言ってないで行くぞ」
「……。はーい」


見事に驚いた様子も無く、あたかも日常茶飯事≠ンたいな素晴らしいスルーをするのはやめてほしい。

いつもこんな叫びをあげているわけじゃないのに。少なくとも君の前では乙女チックでいるつもりだ( とりあえず泣いても良いですか。)

学校の帰り道。朝の天気予報では晴時々曇り時々雨≠ニ予告されていた今日の天気は、珍しく見事的中。三種類のマーク(傘と太陽と雲)が並んだときは思わず吹いてしまった。

今は雲のマークの曇り。本当は、もっと雨が降ってほしかったのに。

そんなふうに考えながら歩いていたら思わず躓いた。
ドジだなあ、とやわらかく笑いながら隣を歩いている君の右手には傘が握られている。

その傘が今はちょっと邪魔。手、握れないし。

気まぐれな神様はわたしたちの邪魔をしたいらしい。
今こそ指パッチンで雨を降らせてくれれば、憧れの相合い傘ができるのに!まあ、そんな気分では無いらしい神様。
とりあえず雨は降らないでいいです。いいから、できれば手、(繋ぎたいなあ、なんて。 )


「ねえねえ」
「ん?」
「雨、降んないかな」


え、と思わず言いそうになったのに寸出のところでつっかかる。
何気なく、なんとなく。呟いてみましたみたいな言葉を紡ぐ君。


「な、なんで?」
「え、」


予想外とでも言いたげな表情。聞き返してしまったこっちも予想外、なんてベタな。君の頬が赤い。

もしかして、もしかしてなんて。


「……だって、傘持ってんの俺だけだし」
「…!」


つまり、それは?なんてわからないほど鈍いわけじゃない。
同じこと考えてたんだ、なんて考えたら余計に熱くなる頬。
君もさっき以上に真っ赤で。や、やばい。嬉しい。恥ずかしい。びっくり、好き。なんだ、これは。気持ちが溢れる。愛しいってこうゆうこと?好きすぎてどうすれば良いかわからない。



「…傘、今は邪魔だね」
「へ?」
「手、」


繋げない
どうすれば良いかわからないなりに紡いだ言葉は思ったより弱々しい声だった。
君に届いたか不安だったけど、君が左手に傘を持ち替えたからそんな不安もふっとんだ。


「曇りでも良っか」
「うん」


君の右手と、わたしの左手が温かい。
(…好きだなぁ)なんて改めて感じさせてくれた、君と、気まぐれな神様に感謝感謝。








神様の気紛れ( 気まぐれな神様 )





(「あ、…雨?」「え?!神様KY!」)




反時計回り」様へ!
Ao.○△□」より。






  
  
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