選考が終わって2日。
いつものように大音量で起こされ、朝練を終えるとミーティングルームへと集合させられる。
つかさコーチ、はじめちゃんと、その横にいる2人の男女がいた。
「よーし、お前らは1軍に選ばれた選手だ。それに伴い、もう2人のコーチを紹介する!」
2人の男女は前に出て、女の方から自己紹介する。
「遠藤 園子(えんどう.そのこ)と言います。ここでは短距離と跳躍のコーチをしています」
一礼すると、男の方を見て、どうぞとジェスチャーする。
「長距離のコーチをします、沖田 零士(おきた.れいじ)です。1軍のみんなよろしくー」
紹介を終えるとつかさコーチは2人を下げさせ、「いいかお前らァ!」と叫ぶ。
「アタシ含めこの3人が今年の1軍コーチだ!あと2週間と少しで地区予選、それまで全力で動け!」
この人の士気の上げ方というのは、強引に見えるがつい乗せられてしまう。
大きく返事をしてしまい、気持ちと姿勢がより引き締まる。
「あ、あと大会ン時の応援の紙渡すから、1年は残れよー!」
応援...?と一瞬思ってしまったが、確かにぶっつけ本番よりは、こうやって前もって渡された方が有難い。
渡された紙には、大会の日の朝にうたう歌や、短距離と長距離の時の応援の違い、マイルリレーや四継を走る前の歌や、終わった後の歌などが書かれていた。
というかほとんど歌しか書いてなかった。
流石は強豪校だな、と勝手な理由をつけて、俺は紙を四つ折りにしてポケットに小銭のように雑にぶち込んだ。