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「新田ー、あれ、新田は遅刻?」
SHRの始まるチャイムが鳴り、
先生が出席を取る。
この時間に新田くんがいないのは久しぶりのことだった。
昨日は2人で日付が変わる頃まで
ゾンビを狩り、好記録を叩き出し、
はしゃいでいたのに。
恋人らしいことはしていないけれど、
今日は2人で狩ろ、と誘ってくれた新田くんを思い出しては机に顔を伏せて、
バイバイって切ってから、まだ夜更かししたのかな、と考えていた。
放課後、部室に向かうめぐちゃんに手を振ってから、ローファーに履き替えた。
めぐちゃんと帰るか新田くんと帰るか、
最近はそれが当たり前になっていたから、
1人の帰り道は久しぶり。
iPhoneで音楽をかけようとホームボタンを押すと、RINGから通知がきていた。
『?』
通知に親指をあて開ける。
ゆー@(ゝ。∂)
___むり死んでる家きて
『…!』
そのたった1文に驚き、足が止まる。
こういう事を冗談で言う人ではない。
何かあったのかもしれない。
私は小走りに駅に向かい、
自分の通学路とは反対方面の電車に乗り込んだ。
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