昔のはなし
●[見せつけ*理彩](1/6)


私はヨシさんのもとに向かう。

ヨシさんは風俗店を営んでいて、一応社長らしい。
奥さんと娘がいるらしいが、彼の家で二人に出会うことは勿論なく、
私は彼の家庭を知らない。


聞いたところによると、ヨシさんと家族はほぼ絶縁状態らしい。


『おう、理彩。』

小さなあかりが灯る玄関前、チャイムを押すとすぐにヨシさんが出てきた。


いつもの、優しい芳和さんが。
『おじゃましま―す!』


ろくにヨシさんの顔も見ずに私は家に上がり込んだ。


『今日はなんだ?また温に迷惑かけてんじゃねぇーだろうな?』


『迷惑かけられてるのはこっちの方よ!』


ふてくされながら
広いリビングにある大きなソファに腰を下ろして
私は冷たく言い放った。



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