一匹オオカミ 夕方、念入りな化粧が始まる。 私は、化粧には手を抜かない。 元々、綺麗な顔立ちをしていると自負しているが、よりよく綺麗に見せるため、目を大きく見せるため、まつ毛を長く見せるため、いっぱい、いっぱい魔法をかける。 「ありがとー、ここでいいよ」 「おう、じゃぁな。迎えは2時半でいいの?」 「うん、お願いねー」 バタン、ブーン… 健が行ったのを見計らって猛ダッシュで飲み屋街へ。 高級クラブが軒を連ねる。 「おはよーございまーす」 「おはよーございます、桜さん。」 「おはよー、マネージャー!」 元気な挨拶をすませると、更衣室へ。 すでに、数人の女の子達がガヤガヤと着替えをしている。 ゛しまった!早く来る予定だったのに…″ 「ヒソヒソ」「ヒソヒソ」 ヒソヒソ声を無視して着替え始める。 そうなのだ。私は、店の女の子達にはチョー嫌われている。 もちろん、仲の良い子なんていない。 お店上がった後、飲みに行く子なんて、いるはずもない。 一匹狼ってやつ… ←( * )|( # )→ しおり ⇒作品?レビュー ⇒モバスペ?Book? BACKHOME |
---|