.第19章 試練 1/15
その頃、大道寺本家はものものしい雰囲気に包まれていた。
関係者たちが見守る中、スーツ姿の女性二人を伴って、大道寺『萌』が廊下を歩いていた。
「ここもずいぶん下品になっちゃったねー。お父さんがいたころは、こんな安っぽい絵とか、これみよがしに飾ることなんてなかったのにぃ。」
廊下でふと足を止めた萌が、その絵がかかった額に手を当てる。
「しかもこれ、レプリカじゃん。」
そういうと、萌はポケットからナイフのようなものを取り出して、その絵を十字に刻んだ。
息を呑んで見つめる執事の一人と目があった萌が、強い口調で言いつける。
「ちょっと、ごめん。アタシ、今日は気が立ってるんだぁ。悪いけど、これ、捨てといて。」
萌が破れた絵の額をつかんで、無理やり引き剥がした絵画をそのままその執事の前に放り投げた。
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