世話焼き後輩とダメ先輩
忘年会の夜編

「先輩、着きましたよ」
「酔ってにゃーい…酔ってにゃいぞぉ、俺はぁ」
「べろんべろんじゃないすか…ほら、早く入ってください。寒いんすから」

 ずるずるずる…

「先輩、いい加減ダイエットした方がいいっすよ…重い」
「うへ、うへへへへ…まだまだ飲めるぉー!」
「聞いてないし…」

 ずるずる…どさっ。

「あー、肩が…腰が」
「…くかー」
「…寝てんのかよ」
「ぐふぐふ…」
「ったく…ひとの気も知らないで…」
「ふへへ…」
「ほら先輩、起きてください。寝る前に脱がないとシワに…」
「ぐかー」
「…」
「ぐー」
「…自分で脱がないなら脱がしますよ?」
「すぴー」
「…」
「ふがっ…くぴー…」
「…知らねーからな…」

 ごそごそ…

「…」

 むにゅ。

「…昔はちゃんと腹筋あったのに」
「しゅぴぴ…」
「…」

 しゅるっ…

「何で俺はこんな…」

 ぎっ…

「…先輩」

 ぎゅ…

「先輩…」
「くー…」
「…」
「…」
「…」

 間。

「…はっ!?…やべっ、俺今、寝て…」
「…ふがー?…後藤?」
「あ…えと…あの、その…これは」
「…」
「…」
「…ぐー」
「寝るのかよ」
「くかー」
「…まあ…助かったけど」
「ぐぉー」
「…」
「しゅぴー」
「…」
「くふー」
「…先輩のバーカ…」

 何故だかちょっとだけ悔しいような寂しいような気分で、後藤は黙って仙道の部屋を出た。

忘年会の夜編
おわり



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