絶対不可欠彼氏!
♪華と終わりの鐘(1/6)

♪華雪





人目につかないように一階の被服室に移動した。




管理棟には人があまりいなくて、思ったより早く被服室に着けた。






「幹也の言ってた通りだな」



「これなら今年は捕まらないね。

あんな思いはもう懲り懲りだし」






藤村君は去年の逃走祭で、三年生の女子に捕まった。



願い事は1日デート。




それは全校に知れ渡って、一時期その先輩は有名人だった。




後々藤村君が言ってたけど、いくら1日だけのデートでも楽しくなかったみたい。



先輩のペースに飲まれっぱなしで、後半は生返事でやり通したとか。



だからそんな思いをしたくないらしい。




…私も叶をそんな目に遭わせたくないなぁ…






「あ、非常扉ってあれ?」






藤村君が指差した先に、非常扉が確かにあった。



私は扉に近寄って、ドアノブを回してみる。




ガチャガチャという機械音が教室のなかに響くだけで、扉は開かなかった。






「叶…開かない…」



「え!?」



「ここまで来てそんなオチ…」






みんな肩を降ろした。




せっかくここまで来たのに…








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