晃×美緒
真っ暗な教室にオレンジの光が差し込むのが綺麗だから、わざと電気を消して校庭を眺める。
正確には、マウンドに立つ君。
晃はモテる。
なんで私を彼女にしたのか、分からないくらいに。
ぼーっとし過ぎたみたいで、野球部の練習は終わってた。
だから、急いで教室を出た。
それが、間違いだったの。
靴箱の方に抱き合ってる誰かの影。
その影を辿ると、そこに居たのは晃と女の子。
私はそのまま走り出した。
後ろから名前を呼ばれた気がしたけど、振り向かなかった。
走って、走って、走って、
行き着いたのは、屋上。
もう、太陽は沈んで星が見えてた。
驚きすぎて、涙さえ出てこない。
「美緒…。」
後ろを振り返ると、そこには晃の姿が。
『なんで来たの?』
「美緒が逃げたから。」
そりゃ、逃げるでしょ。
自分の彼氏が女の子と抱き合ってるんだから。
「泣くなよ、美緒。」
そう言われたとき、自分が泣いていることに気が付いて、でもそれ以上に、晃が泣きそうな顔をしてるのに驚いた。
「ごめん、美緒。」
『何にたいしてのごめん?もう、私のこと好きじゃなくなった?』
「そんなこと言ってない。俺の中では、いつだって美緒が一番だ。」
『じゃあ、さっきの子はっ…、』
言い終わらないうちに晃に抱き締められた。
「聞いて、美緒。さっき確かに告られた。でもちゃんと断った。そしたら抱き付かれたの。一方的にね。」
そう言った晃は私の体を少し離し、
「愛してるのは、美緒だけだよ。」
『…晃、』
「返事は?」
そう、悪戯に笑った晃がかっこよくて。
『私のが、愛してる。』
そう言った後にすぐ、ちゅっ…って優しいキスが降ってきた。
これから先、どんなことがあっても、晃となら乗り越えられる気がするよ。
(やっぱ、俺のが愛してるし。)
(知ってるよ。)
end.
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