花飾りに剥がれた仮面
第十三話*[声なき声で呼ぶ名前](1/5)


「お前――――」


 ユーイ、と自分を呼んだ仮面の人物を男は見た。見詰め合った。

 その、緑の穏やかさと奥から姿を現した激情を孕んだ瞳、日の光の下になくともなお透き通るような金の髪。


「――――フィオルティン」


 唇が、その名を紡いだ。囁きにもならない、声といえない声だったが、剣を交わらせ間近に顔の寄っていたフィオルには確かに聞き取れた。

 フィオルという名前がフィオルティンの略称であるように、ユーイとはユリシスの愛称。つまりはこの男の、名前。それも、そう呼ぶのは一部の者のみなのだ。

 仮面ではっきりとした顔は見られなくともこれらは確かな特徴となる。



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