月は綺麗だった

[そんなもん捨てちまえ](1/16)

カラン、と下駄のいい音がする。


前を歩く山崎烝は演技中でとても女らしい。


「おい、みろよ」

「おぉ〜、別嬪だなぁ」


街ゆく男がチラチラと振り返る。


うわ、俺めっちゃ場違い。


「背筋伸ばせ。曲げてる方がみっともねぇぞ」


「っ、」


バチンッと音がすると同時に背中に痛みが走る。


一瞬、息が詰まった。


「だ…れ……」


誰だよ、と文句を言おうとしてそいつを見て言葉を失った。


この時代では絶対に見ない剥き出しの肩。


脚が覗く着崩し方が似合ってるのかどうなのか。


ただ、かっこいいと思った。




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