月は綺麗だった

[知りたいのはこっちだ](1/19)

俺の1日は夜明けとともに始まる。


「ふぁ……」


その日もいつもと同じように目が覚めた。


ベッド脇の窓から差し込む光が俺に目覚めを促してくる。


低血圧の俺にとって朝は地獄でしかない。


なのに何故こんなに早く目覚めるのか不思議で仕方ない。


のろのろと支度を始める。


寝ぼけた頭を必死に動かし、服を着る。


「おはよう。母さん、父さん」


仏壇に手を合わせ、父さんと母さんに挨拶をする。


一年前に事故で亡くなった2人。


優しくて、暖かくて、平和な家族は消え去った。


リビングで新聞を読みながらコーヒーを飲む父も、キッチンで朝食を作る母の後ろ姿も今はない。


それに慣れるまで1ヶ月かかった。


今はすっかり慣れて自分で朝食を作って食べて片付けて学校に行く。


その日もそうなるはずだった────。



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