潰れたのは
[忘れたい](2/14)







彼のその言葉は、私の体から力を抜いた。



なんとなく心の中に引っかかっていた囁かな抵抗心も、鎖のように絡みついていたと思っていたのにもうほとんどなくなっている。





彼が私を好きだと言ってくれるのなら。




愛してると抱いてくれるのなら。








力なく揺れる私の瞳に彼は気づいて妖艶に笑う。








「ね、俺に溺れちゃおーよ。」


「…でも」


「雪のことドロドロに愛してあげる。何して欲しいか言って?何でもしてあげる」







するすると彼の唇から出てきて、私の鼓膜を震わせていく澄んだ声。



私を安心させるための罠。愛してるなんて薄っぺらい言葉、きっと彼と寝ている時だけの話。






分かっている。分かっているのに。







「…愛、してっ、もういや、


愛されたいの、溺れさせて…っ」









透明な、あなたに














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