潰れたのは
[忘れたい](1/14)







ぼーっとしながら、彼の差し出す手のひらを握ってしまう。彼の綺麗な笑顔に魅了されながら、淡く月光に煌めく彼の髪が靡くのを眺めながら。



ゆったりと細められる彼の瞳には、死にそうな顔をした私の姿が映る。すると彼はまたその瞳を細めて笑う。






月の光に照らされて、彼の顔に出来る陰影。白い肌とのコントラストが、妖美な笑顔と相まって余計に幻想的だった。






そんな彼について行ってしまうのはあまりに危険なのかもしれない、と思って指を引っ込める。




そんな私を見て彼は静かにしゃがみこむ。目線を私まで合わせて、鼻と鼻が触れそうな距離まで近づいた。








もう少しで、唇が触れてしまいそうなところまで。









そしてその綺麗な瞳が私の視線を絡め捉えて離さない。離れない。



そして薄い唇がゆっくりと動き出して、その言葉は私の体を溶かすように沈み込む。















「俺なら、雪のこと愛してあげられるよ。」













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